イベントレポート:芦北高校職場見学
先日、水俣芦北雇用創造協議会から依頼を受けて熊本県建設業協会芦北支部青年部の一員として芦北高校生の職場見学を実施してきました。
生徒たちが普段勉強している林業に関わることがいいだろうということで、橘新建設さんにご協力いただき施工真っ最中の治山工事の現場を見学させていただきました。また現場の雰囲気を感じながら発注者である芦北地域振興局から「治山工事とは」「芦北高校を卒業した職員の体験談」を。橘新建設さんからは「当現場の説明」「やりがい」などを説明していただき、青年部会長からは「社会人になるにあたってのコミュニケーションのコツ」や「母校への愛校心」についてお話していただきました。
見学会の内容は非常に興味深く、最後の質疑応答の際には生徒からたくさんの質問をいただきイベントとして大変盛り上がったのではないかと感じました。
僕も少しお時間をいただき「建設業の魅力」についてお話させていただきましたので、今回はその内容についてご紹介したいと思います。
健康で文化的な生活を送るために多くの時間を仕事に捧げる?
みなさんこんにちは。私は、熊本県建設業協会芦北支部青年部という簡単に言うと水俣や芦北の建設業の集まりから来ました、杉本といいます。
今日は企業見学会ということで、お話する時間をいただきましたので、僭越ながらお話させていただきます。林業治山や現場のことについてはすでにご説明していただいてますので、僕からは仕事や建設業の魅力についてお伝えできればと思います。よろしくお願いします。
さて、みなさんは早くて2年後遅くとも6~7年後にはどこかの会社などに就職して、仕事をしていると思います。学生のカテゴリーから社会人というカテゴリーに変わるということです。社会人になると1日の大半を仕事や仕事関連を使ってしまいます。
一例を見てみましょう。6:30に起きて朝食や仕事の準備をします。通勤に30分。フルタイム勤務だと昼休憩合わせて最低でも9時間は職場に拘束されます。その後帰って夕食・風呂など入っていたらあっという間に20時。明日も仕事だし早く寝ないといけないよね、なんて考えたらプライベートな時間は1日のうち2時間も取れればいいほうかもしれません。貴様はいつ家事をするのだ?という声が聞こえてきそうなスケジュール例ですが、みなさんにとってはなんだか社会人になるのが嫌になってくるようなスケジュールかもしれません。
話は変わりますが、みなさん授業や勉強は好きでしょうか?
生徒1:あまり好きではないです。
生徒2:嫌いです。
そうですよね(笑)僕もあまり好きではありませんでした。もちろん授業の合間の休み時間や部活、放課後は楽しかったのを覚えています。これってなんだか先程見た社会人のスケジュールに似ている気がします。
また、勉強が好きじゃないと言っても中には面白い授業もあると思います。調理実習とか、、自分が得意な競技の体育の時間とか、、そういった授業があるときって、1日の充実感が高く感じるのではないでしょうか。同じように仕事も面白く感じられれば、1日1日を楽しく過ごせて土日も楽しくて、仕事も続けられて、、より幸せな人生を過ごせそうな気がします。
実は「仕事が楽しくなるプロセス」というのは既に解明されていて、今日はそれをご紹介したいと思います。仕事の報酬とはなにか?というお話です。
お金は大事
第一段階は「仕事の報酬はお金」です。なにを当たり前のことをと思うかもしれませんが、生活できなければ仕事を楽しむことはできないので、お金があることは大前提です。
弊社にも毎年新入社員が入社してくれますが、「ぶっちゃけなんでうちを選んだの?」と聞くと、「給料が高いからです」と全員答えます。確かに学生にとっては10万円20万円というのは大金ですが、はじめはそれで満足していても1年も続くと当たり前になり、仕事の辛い面ばかり見えてくるようになります。高卒の3年以内離職率は35%と言われていますが、ここで次のステップに移れないと、仕事はただネガティブなものとなり、結果として離職に繋がっているのではないでしょうか。
学校生活で例え話を作るのが難しかったので、ゲームで例えますが、はじめは操作もおぼつかなくてもちろん勝てませんが、友達とわいわい話ながらできて楽しいという経験はないでしょうか。しかし余りにも負けが重なるとつまんなくなってやらなくなってしまうと思います。これが仕事で言う離職の状態です。ゲームにおける次のステップは勝つことです。勝てるようにならなきゃ楽しくないんですよ。では、仕事において勝つとは一体どういうことでしょうか。
できるようになると楽しいよね
仕事において勝つ。第二段階は「仕事の報酬は能力」という段階です。できなかったことができるようになる。もっと上手になりたいと感じるようになり、能力が高まっていくことに対して実感と満足感をもてるようになります。一連の仕事の中で自分の領域が広がっていき、会社の中で役に立っているという実感が得られる時期となります。
学校を卒業して2~3年後にあった同級生と話をすると思い出話だけでなく、仕事の話をするようになる。段々と仕事がおもしろくなってきているということだと思います。
やりたい仕事ができる
第三段階は「仕事の報酬は仕事」という段階です。ブラック企業の朝礼のようなフレーズですね(笑)能力が上がることによって、自分がしたいと思う仕事を任せてもらえるようになる時期という意味です。
「勉強しなさい」と言われてする勉強より、自発的に机に向かう勉強のほうがやる気がでますよね。また就職から5~6年働いているといつも自分が行っている仕事の表面的な部分だけでなく、裏側で人やものやお金がどのように動いているかわかるようになります。こうなると仕事の相手先(お客さん)が望むことや自分が働いている会社はどうなれば嬉しいのかということを考えながら仕事ができるようになってきます。
自分にとっても会社にとってもお客さんにとってもプラスになることを、自分が企画して実現できる。これほどやりがいがあることはないし、これこそが仕事のやりがいといえることではないかと思います。
建設業の魅力
ここで、ぼくたち建設業を具体例として、このプロセスを見てみましょう。
仕事の報酬はお金ということについて。
2022年の日本人の平均年収が400~450万というのに対し、建設業界の平均年収は500~550万という調査結果が多いです。つまり建設業界で働くと生活するのには困らないよねということを示唆しているのではないでしょうか。
仕事の報酬は能力ということについて。
建設業の仕事は一つ一つの小さな仕事を積み重ねて大きなものを作り上げます。小さな仕事は特別な能力が必要な難しい仕事というわけではありませんが、どれもが大事な仕事です。一つずつ丁寧に覚えていくことで、自分の活躍できる領域を着実に増やしていくことができます。また最近ではICT施工が徐々に浸透してきています。新しい情報通信技術を使って施工を行うという仕事ですが、パソコンやスマホに慣れ親しんだ若い世代がすぐに活躍できる領域となっています。
仕事の報酬は仕事ということについて。
5~6年の経験を積んだあと、徐々に小さい現場を一人で任せてもらえるようになります。その現場の現場監督になれるということです。施工について基準や決まりはあるものの、紙の図面数十枚からなにもないところに建物を作っていくということで、これまでの経験から自分が思うように仕事を進めることができます。またその仕事は僕たちの住む地域の安全な暮らしを作っています。必ず役に立つ仕事ができるというところも特徴です。
明日やろうは、、、
最後に漫画「賭博黙示録カイジ」より大槻班長の言葉を抜粋してご紹介します。
「明日からがんばるんじゃない!今日…今日だけがんばるんだ!今日をがんばった者…今日がんばり始めた者のみに明日が来るんだよ」
就職してからただなんとなく生活するだけでは、絶対に仕事の能力あがることはありませんし、絶対に仕事は楽しくなりません。今目の前にある仕事を一生懸命こなした人、今日を頑張った人だけが段々と仕事が楽しくなってくるものだと思います。
長々とお話しましたが、今日のまとめに入ります。「仕事は楽しくやろう」ということです。そのために求人票に記載されている給料額が2万高い3万高いということに一喜一憂するのではなく、どんなことができるようになりたいか自分が頑張れること、という視点が仕事選びでは大切なのではないかと思います。今日もいろいろな職業の人たちを見ることができると思います。家に帰ってから、「あの職業はおもしろそうだったな」とか「芦高の先輩である林務課の人たちはかっこよかったな、あんな風になりたいな」と感じたことから、「どうすればなれるだろう」とネットで調べてみるなど、今日を頑張ってみることからチャレンジしてはいかがでしょうか?
ご清聴ありがとうございました。