15年ほど前、当時はまだガラケーが主流でした。2インチほどの小さなディスプレイでiモードやezwebといった、今ほど情報量の多くないネットを見て楽しんでいた中、先輩が出始めのiPhone3Gを持っており、AKB48のヘビーローテーションの動画を全画面表示で見せてもらって、画質や音質の良さ、画面の大きさに感動したのを覚えています。
最近では僕が感動していたスマホは、みんなが持っていて、情報量もとても多くなっています。どこかの親切な誰かが素晴らしいコンテンツを無料で公開していて、わからないことがあっても調べれば大体のことは検索結果に表示されます。 (ついこの前は「微分ってなんやねん」と思ってググってみると、とてもわかりやすく説明されたページを見ることができました。微分といえば形を覚えて、あてはめるようにして答えだけを求めていた僕にとって、学生時代に今のような環境があれば、もっと学習がはかどったかもしれません。……はかどってはいないでしょう)
いわゆる「Z世代」とよばれる人たちにとって、このことは当たり前で、なにごともまずスマホで調べてからはじめるそうです。
やる前から情報を得られるので、効率的だなと思う一方、実際に体験する機会が少なくなっているとも言われています。
言葉で理解する、肌で感じる
ネットで 「仕事」 について調べてみると、
「~はだめだ」
「〇〇はやめておけ」
「求人票に✕✕と書いている会社はあぶない」
など書かれていることが多いです。
もちろんその人の経験的に事実なこともあるでしょうが、百聞は一見に如かずというように、やはりやってみないとわからないことのほうが多いと思います。
経験前学習だけで、業界や職種をしぼってしまうのは非常にもったいないように思いますし、そういった意味で直接目で見て情報を得られる「職場体験」や「インターンシップ」はとても有意義な機会だと思います。
意外と子どものころの経験って覚えている
かくいう僕も、中学生のときに職場体験に行ったことがあります。ランチタイムのみの営業で、実習時間が短いといった不純な理由から、近所の焼肉屋さんを希望しました。
皿洗いや注文された品をテーブルまで運ぶといった簡単なことをやらせてもらいました。優しい人が多かったのか、「ありがとう」と言ってくれるお客さんがたくさんいました。当然学生だったので、それまで見ず知らずの人から感謝の言葉をもらう経験なんてなく、とても新鮮な気持ちで嬉しかったことをよく覚えています。
「人からありがとうと言われる仕事がしたい」
今思うとこの原体験が今の仕事観につながっているような気がします。
松下組の職場体験
どうしたら楽しみながら学べるだろう?
僕たちだからこそ伝えられるものはなんだろう?
松下組での体験を通して、「こういった作業は好きだ」「この仕事はおもしろかった」など何かしらを感じてほしい。願わくば、その経験が僕のように、将来の職業選択のときに役にたってほしいと思います。
しかし有意義な活動となるように、実習プランについて日々頭を悩ませていますが、いまだ明確な答えは見つけられていません。
納得する内容を決められているわけではありませんが、やらないことには始まらないと思うので、その時の精一杯をもって職場体験を企画しています。9月末に芦北町の中学生の職場体験がありましたので、弊社でも受け入れさせていただきました。
今回の活動では、工事現場を感じてもらうことの他に、木工体験という弊社では初の実習を行いました。
普段の生活において、工事は頻繁に行われていますが、わざわざ足を止めて見ることもなく、ましてや現場内に入って見ることはまずないです。間近で動く機械の音や振動、働くひとたちの姿や言葉を感じることは、ネットでは得られないものではないでしょうか。
木工体験では、ただ単に工作を行うだけではなく、1つの「仕事」としてみたてて、活動を行いました。木工体験を通して【設計→準備→施工→完成】のプロセスと、ものづくりの楽しさを感じてもらえる内容としました。また、木工体験に使用した材料は、主に見学した現場で発生した廃材を再利用したので、地球にも優しい取り組みになったと思います。建設業のSDGs的な側面も感じれたと思います。
木工体験では、ベンチを製作しました。
実習中、学生の様子を見に来た先生に学校に新しくベンチは必要かお尋ねしたところ、是非ほしいとのことだったので、そのまま中学校に寄贈することとなりました。校長先生をはじめ、学校の先生方にはとても喜んでいただけたと思います。
意図的に計画していたものではなく、偶発的に得られた結果ですが、生徒たちにとっても、自分たちが作ったものが身近な人たちに喜んでもらえるという貴重な体験にできて、今回の職場体験は成功だったのではないかと思います。また弊社にとっても、充実した活動へ一歩前進でき、とても有意義なものとなりました。
今回の経験を元に、職場体験をよりバージョンアップしていきたいと考えています。
「将来どんな仕事をしたいか考えたことない、わからない」という人たちが、職場体験を通してきっかけを掴み、目的をもって主体的に学校での勉強や進路の選択を行うのに役立てるよう、これからも頑張っていきます。